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2024年のつくしが丘病院

青森県立つくしが丘病院

院長 桐生一宏

 

 今年2024年は元旦の能登地震で始まる波乱の幕開けとなった。正月はさらに飛行機の火災事故、商店街の火災と続いた。被害に遭われた皆様には心からの哀悼の意を表したい。

 

 今年はそればかりでなく地震や火山噴火がやたらと多かったり、コロナだけでなく他の感染症も多くみられたりもしている。また、世界各地での戦争や紛争、社会・経済の混乱や分断もみられ、何かと不穏な世相である。そして著しい少子高齢化と人口減少も留まるところを知らないどころか更に加速しているかのようにも思える。すべての年代の人々にとってこれまで経験したことのない時代にいると言っても過言ではない。

 

 精神科医療の世界はこのような社会情勢や世相とは無関係ではない。気分障害や発達障害、依存症、認知症といった患者さんが増加しており、少子化にも関わらず児童思春期の患者増も続いている。

 医療界全体の慢性的なマンパワー不足もあいまって、精神科受診に至るまでの長い待機時間や精神科医療難民の発生などをはじめとする様々な問題が目立つようになっている。

 このようななか、当院としては、このような社会状況を見極めながら、精神科医療の充実に貢献すべく、こころ新たに日々の業務に取り組みたいと思う。

 

 まず、精神科医療において人権を尊重するのは当然のことであるが、昨今も八王子の病院で残念な事件があったりもした。また、この4月から精神保健福祉法の一部改正があり入院患者さんらに対する保護が強化されてもいる。よって今一度人権について銘記し、ユーザーの視点にたった良質で安全な医療を提供できるようにしたい。

 

 また、現在は一つの医療施設で精神科医療を自己完結できる状況にあるところはなく、それは青森県も同様である。よって各病院のみならず、診療所、施設との連携と役割分担を進めていきたい。つくしが丘病院はどのような形で貢献できるのか、職員ひとりひとりが考え実行していけるようでありたい。そして良質な医療の提供のために、積極的に新たなことを学び、実践し、振り返ることを推奨していきたい。良質な医療の提供には知識、技術の向上のみならず、接遇などの対応も重要になってくる。そして多職種の相互尊重に基づいた協力関係もさらに大切なものとなる。

 

 自分あるいは自分の家族が何かあった時にはぜひお世話になりたい。そんな病院でありたいと思う。


 

令和6年5月 

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